母の機転 ――
……ピンポンパンポーン♪
アナウンス: 『……本日はご来店いただき誠にありがとうございます。お客様のお呼び出しをいたします。東京よりお越しのてづかくにみつ君、お母さまがお待ちでございます。一階正面フロアのサービスカウンターまでお越しくださいませ』
タカさん: 「……あれ? これって――」
タマゴ: 「手塚、だよな?」
薫: 「た、多分……」
菊: 「て言ーうかさー、手塚いま迷子なわけ?」
汁: 「どうやら手塚一家は、下のショッピングモールで買い物をしているうちに一家離散したようだな。ま、よくあることだが」
おチビ: 「ぶちょー、カッコ悪いっす」
桃: 「それにしても部長のお母さんも大胆ンすよね。わざわざアナウンスで息子を呼び出すなんて、サスガっつーかなんつーか……この場合、ふつーは携帯を使うっしょ!?」
黒不二: 「ああ、それは無理だよ、桃。いま手塚は携帯使えないんだ。彼の携帯、僕が持ってるからね」
桃: 「は?」
黒不二: 「昨日、うちで充電したまま忘れて帰っちゃったんだよね。……ちょうどいいや。今からサービスカウンターへ行って、手塚にコレ、返しておこう」
タマゴ: 「――え? みんな行くのか? 映画は?」
汁: 「上映時間まで、まだ40分ある。サービスカウンターまで往復しても充分に間に合うだろう。何より迷子の手塚なんて、映画よりも面白そうだと思わないか」
菊: 「そうそう!」
おチビ: 「先輩たち、みんな物好きっすね」
……ぶちょーの災難は続く……チーン。
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