maru | 個性派ぞろいの青学レギュラーの中で、“青学の天才”といえば、不二周助です。 普段はニッコリ柔和で人当たりも柔かい美形さんですが、何かの拍子で興が乗ると(?)眼差しが一転して鋭くなり、別人のような苛烈な表情を見せます。 二面性、と云うよりは感情の起伏にムラがあるというか、つかみどころがない雰囲気で、それ故「そのギャップがステキ!」と云う女の子もいれば、「……敵にだけはしたくない」と固い笑みを浮かべるヒトもいるでしょう(笑)。 とにかく性格同様、“底が見えない”と呆れ半分で感嘆される不二のテニスプレイは、技のデパートと言っても差しつかえのない、華麗で多彩な返し球(カウンター)が持ち味です。そのラケットさばきは、まさに「テニスコートの染之助・染太郎」。彼の手に掛かると、テニスボールは消える! 弾まない!! 逆に飛ぶ!!! ――この調子で行けば、打球の分身も夢でないかもしれません。何せ眼が見えなくても、ボールの気配をカンでとらえてプレイしてしまうとんでもない御仁なんですから、出来ますよ、なんだって!(笑) ところで30巻で、フォースカウンター“蜉蝣(かげろう)包み”が登場したとき、あ、やっぱり、と思わず独語した方はおられませんか? と云うのも、 「不二は、“プロゴルファー猿”を意識している!」 “プロゴルファー猿”とは、藤子不二雄A氏原作の、自称(!)天才ゴルファー、猿谷猿丸少年の活躍を描いた痛快ゴルフ漫画で、テレビアニメにもなった作品です。猿クンは“旗包み”“もず落とし”“岩返し”と云う必殺技を引っさげて、ミスターX配下の影のプロゴルファーたちとアツいゴルフ勝負を繰り広げます。 ――はい、もうお気付きですね、不二の返し球(カウンター)“蜉蝣包み”“羆(ひぐま)落とし”“つばめ返し”……ネーミングの原点ここにアリです。と云うか、ムチャクチャ猿クンのこと意識してないか、不二?(笑)。 ちなみにビジュアル、性格のいずれも、猿クンと不二じゃあ猿人とホモ・サピエンスほどもかけ離れています。――が、国有地(山)に無断で堂々と家を建て、さらに自分専用のゴルフコースまで勝手に作ってしまっている猿クンと、片や、もう後がないところまで追い詰められた全国大会の試合中にスルっと“新技”を作ってしまう不二の、二人のその常人には理解不可能な神経の図太さと云う点で言えば、結構お互いにいい勝負だと思います。 2007/01/29 まる |