とある回転すし店にて――
店員:「お待たせしました、跡部様―跡部さまー。ご案内しますのでお席のほうへどうぞ!」
跡:「ふん。待たせやがって」
忍:「8人で来てんのに、カウンター席がいいゆうからやないか。ボックス席やったらさっさと座れたのに」
跡:「言ったのはお前らだろうが」
向:「回るスシを自分で取って食べたいって言い張ったのは跡部だろ」
宍:「おら、ジロー、起きろ! ……ったく、しょうがねーな。日吉、ジローの荷物頼むぜ」
鳳:「それにしても“まさYOUNGすし”なんて、変わった店名ですよね」
忍:「……やっぱ制服やと目立つなぁ」
跡:「おら、てめーら! 行くぞ!」
<カウンター席の席順>
ジロー かばぢ あとべー 忍 岳くん 宍 ちょーたろー 若
← (スシの流れ) ← (スシの流れ) ← (スシの流れ) ←
跡:「おい見ろ樺地! このバカバカしい光景を! 意味はさっぱりわからねーが、確かに寿司が流れてやがる」
樺:「ウス」
忍:「なんや、ココもやっぱりまずいティーパックか。このタイプやないお茶置いてる回転すし店ってないなぁ」
宍:「……なんだよ長太郎、お前さっきから細巻きばっか食ってんじゃん」
鳳:「オレ好きなんですよ。そういう宍戸さんだって、タマゴ二皿目じゃないですか」
宍:「うるせーな! 好きなんだよタマゴが! 悪いか!」
向:「ゆーし、今取ったヤツなんだよ?」
忍:「マグロのづけ」
向:「俺にも一個くれよ」
忍:「ええよ。 ……って跡部、お前なに固まってんねん? まさか憧れの回転スシを前に緊張してるんか?」
跡:「あァん? なに言ってやがる。俺はこの“まさYOUNGイチ押し炙りトロ”ってヤツが流れて来るのを待ってんだよ、なぁ樺地?」(と、眼前のメニュー表を指差す)
忍:「…………樺地に好きに寿司食わしたりぃな」
芥:「樺地ぃー、プリン半分やるー」
樺:「……ウス」
宍:「ごちゃごちゃ言ってねーで適当になんか食えよ、跡部」
跡:「うるせーよ宍戸! 俺は一皿目は“俺様の炙りトロ”ってココロに決めてんだよ!」
芥:「あとべー、そこのゲソ巻き取ってー」
跡:「? ゲソ巻き?」
忍:「…………ほら跡部見てみ、来よったで、お待ちかねの“俺様の炙りトロ”や」(割り箸で右上手を差す)
跡:「ついにきやがったか! どこだ?」(身を乗り出す
忍:「今ちょうど最終コーナーを曲って最後の直線に入ったとこ……」
日:「下克上!」
跡&忍:「ああっ!?」
日:「――え?」(皿を持ったまま振り返る
跡:「日吉、てめぇ」
日:「…………」
跡:「横取りすんじゃねーよ、俺様の炙りトロ! さっさと寄こせ!!」
日:「……あ、はい」
岳:「ッて言うか、お前、こんなとこでまで下克上かよ」
跡:「よし、食うぞ樺地!」
樺:「ウス」
忍:「席替わりたなってきたわ、俺……(←疲れた) ……って痛いがな跡部、なにしばくねんな」
跡:「□○☆△×っっ!!!!」(悶絶踊
忍:「………………」
岳:「どうしたんだよ跡部?」
忍:「――難儀なやっちゃな、もう」(肩を落とし、諦めたように呼び出しボタンを押す
声:「はい。ご注文をどうぞ」
忍:「あのー、すんませんけど、この店の寿司を全種類、サビ抜きでお願いしたいねんけど……いやお持ち帰りと違ごて、今握ってもらいたいねん……いやせやからね、……」
…………その後、延々と流れ続けた“あとべ専用”とフラッグの立った皿行列は、まさYOUNGすし店の伝説になったとかならないとかいうことである……
2007/05/02