放課後・部室にて−−
手塚： 「は、はくしっ！」
海堂： 「あ。」
大石： 「――おーいみんな、明日のメニュー表だ。越前もホラ。……後はえーと（見回して）……あれ？ 海堂は？」
河村： 「海堂ならあそこだよ。明日、家の都合で部活を休むからってさ、手塚に言いにいってるよ」
大石： 「そうなのか」
菊丸： 「あれー？ 海堂ってば、ヘンなカオしてるにゃー」
桃城： 「そうっすか？ あの野郎はいつもあんな感じっすよ」
不二： 「ヘンな表情（かお）というより、どっちかと云うと強張ってるみたいだけどね」
乾： 「確かにそうだな。……便秘かな？」
越前： 「なんすか、その例え」
菊丸： 「あ、話終わったみたい。おーい、海堂〜！」（手招き
海堂： 「――なんすか、先輩」
大石： 「明日の練習メニュー表を配ってたんだが、海堂は明日の部活は朝から休むのか？」
海堂： 「はい。学校も休むんで」
大石： 「そうか、わかった」
不二： 「ねえ海堂、手塚に何か言われたかい？」
海堂： 「え？」
乾： 「海堂、牛乳、飲むか？」
河村： 「乾、便秘から離れようよ……」
海堂： 「一体何の話っすか」
越前： 「先輩がさっき手塚部長と話していたときに様子がヘンだったから、先輩たちが気にしてるんすよ」
海堂： 「は？ 俺がヘン？」
乾： 「変だっただろう、手塚がくしゃみをした辺りから」
海堂： 「！ あ、あれは……！」
桃城： 「だーもう！ 面倒くせぇな、さっさと言えよマムシ！」
海堂： 「うっせぇてめぇ！ あれはだからっ、その、手塚部長がくしゃみした時に、前歯に青海苔が付いてるのが見えたから――」
菊丸： 「へ？」
河村： 「青海苔？」
桃城： 「マジで！？」
海堂： 「…………いや、一瞬だったから見間違いかもしれないが……」
（全員の視線がぶちょーの方へ）
越前： 「――なんだ。そんなことなら本人に言えばいいじゃん」
海堂： 「言えるかバカ！」
不二： 「でも想像してみると、ちょっと面白いね。……ふふ」
桃城： 「ちょ、やめてくださいよ不二先輩！ そんなこと言われたらオレ気になって、今日の部活中、部長の口ばっかりガン見しちゃうじゃないですか！」
河村： 「それは……コワいよ桃」（ドン引き
桃城： 「オレだってヤですよ！」
大石： 「前歯に青海苔ねぇ……」
海堂： 「あの……しみじみ繰り返さないでもらえますか。…………思い出すんで」
手塚： 「はくしっ！」
（終）
2010/04/30